芦原すなお 『月夜の晩に火事がいて』 6point

月夜の晩に火事がいて (創元推理文庫)

月夜の晩に火事がいて (創元推理文庫)

『ミミズクとオリーブ』『嫁洗い池』ののどかな雰囲気をそのまま持ち込んだような長編ミステリ。起こる事件は結構凄惨なのに、この雰囲気を保てる手腕は、ミステリ界において作者の独壇場ではないでしょうか。
讃岐弁は読んでいて心地いいのですが、後半の50ページに渡るイミコさんへの尋問シーンは正直きつかった… 何度挫折しかかったことか… ある意味、この作品の一番の見せ所なのかもしれませんが。
ミステリ的には、トリック的にも真相的にもそれほど驚けなかったのが残念なところ。とは言え、これは好きな作品です。