島田荘司 『アトポス』 8point

アトポス (講談社文庫)

アトポス (講談社文庫)

御手洗潔シリーズ大長編。
御手洗潔が登場するのは700ページを過ぎた頃ですけれど(登場シーンがかっこよかった!)、それまでの間もずっと緊張感を維持しながら読めました。島田荘司本格ミステリでは、「冒頭の幻想的な謎」が特徴的ですが、今回の謎(というかホラー?)のインパクトは強烈だった。200ページくらい続くエリザベート・バートリの恐怖の物語は息つく暇もないまま一気読み。そのままの勢いで、その後の長い長い序章であるハリウッドでの事件や上海の過去、そしてサロメの脚本も一気読み。
それにしても今回のレオナはかなりギリギリでしたね。今後の作品にも登場するはずでしょうに、あそこまで描いちゃって大丈夫かなとやや心配になりましたが…
事件の舞台が、あからさまにトリックのために用意された舞台に思えたのが、やや気になったところ。そして、序章での謎が全てつながった真相にはビックリできましたが、一番楽しみにしていた串刺し死体のトリックがちょっといまいちだったかな… 完全に私の好みの問題だとは思うのですが。
でも全体的には大満足。